解体のアスベスト(石綿)取り扱い完全ガイド|事前調査の義務化・必要な資格・現場の流れ【2026年義務化対応】

解体現場のアスベスト(石綿)取り扱い完全ガイド

こんにちは!【斫り・解体作業】の湘南ユーテックです。

古い建物の解体や斫りで、いちばん神経を使う相手・・・それがアスベスト(石綿)です。

見た目では分からないのに、吸い込めば数十年後に肺がんや中皮腫を引き起こす。
だから国も年々ルールを厳しくしていて、2026年1月からは「工作物」の事前調査も資格者じゃないとできなくなりました

正直、私たち現場の人間からすると「また法律が変わったのか…」「資格を取りに行かないとダメなのか」「書類が増えて工期が遅れる…」というのが本音かもしれません。
追いきれないよ、と頭を抱えている親方や元請けさんも多いはずです。
でも石綿だけは、知らずに進めると工事が止まる・罰則を受ける・自分や仲間の健康を損なう・・・どれも取り返しがつきません。
この記事では、解体・斫りに関わる人が最低限おさえておきたい石綿の「資格」と「現場の流れ」を、現役の解体会社の目線で順番に整理します。

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・なぜ今、こんなに厳しくなったのか

石綿は昔、断熱・防火に優れた「魔法の鉱物」として大量に使われました。
その建物が今、いっせいに解体期を迎えています。
そこで国は、石綿を飛散させないために、ここ数年で事前調査のルールを段階的に厳しくしてきました。現場に直結するのは次の3つの流れです。

2022年4月〜
事前調査の結果を国に「電子報告」する義務
建築物の解体は床面積80㎡以上、改修は請負金額100万円以上 など、一定規模の工事が対象。
2023年10月〜
「建築物」の事前調査は“有資格者”でないとできない
建築物石綿含有建材調査者などの資格を持つ人が調査する決まりに。
2026年1月〜
(施行済み)
「工作物」も“有資格者”でないとできない
ボイラー・配管・反応槽・電気設備などの工作物は、工作物石綿事前調査者が調査する決まりに。今まさに始まったばかりの最新ルール。

つまり、「とりあえず壊し始める」が通用しなくなり、資格者の調査→国へ報告→着工という順番が法律で固まったわけです。

・石綿は「レベル」で危険度が違う

ひと口に石綿建材と言っても、どれだけ飛び散りやすいか(飛散性)でレベル1〜3に分かれます。
レベルが上がるほど手続きも装備も厳しくなります。

レベル1(飛散性 大)
吹付け石綿(天井裏の吹付け材など)。最も飛びやすく、もっとも厳重な対策が必要。
レベル2(飛散性 大)
断熱材・保温材・耐火被覆材(配管やボイラーまわりなど)。レベル1に準じた厳しい対策。
レベル3(飛散性 低)
成形板・内装材・床材・外装材・仕上塗材など。飛散性は低いが、解体・斫りでいちばん出会うのはここ。油断は禁物。

特に飛散性の高いレベル1・2は、作業を始める14日前までに届出が必要です。
「斫り屋が一番触るのはレベル3だから関係ない」と思いがちですが、レベル3でも除去には決まりがあり、そもそも「石綿が入っているかどうか」を先に調べないと始まりません。

・【調べる人】事前調査は“資格者”の仕事になった

解体・改修の前に「石綿が含まれているか」を調べるのが事前調査です。
これが今は、決められた資格を持つ人でないと行えません。建築物を調べる資格は、対象範囲によって次の3つに分かれます。

  • 一般建築物石綿含有建材調査者……一戸建ても含めてすべての建築物を調査できる。実務の中心になる資格。
  • 特定建築物石綿含有建材調査者……一般と同様にすべて調査可。さらに実地研修や口述試験などを経た上位区分(現状、一般との業務範囲の差はないが、将来区分される可能性あり)。
  • 一戸建て等石綿含有建材調査者……一戸建て住宅・共同住宅の専有部分のみ。ベランダ・廊下などの共用部や、店舗・ビルは調査できない。

「3つもあるとどれを取れば…」と迷うかもしれませんが、実務ではまず『一般』を取れば、戸建てからビルまですべての建築物を調査できます
会社として解体を請けるなら、社内に一般(または特定)の資格者を1人は確保しておくと安心です。

そして冒頭でも触れたとおり、2026年1月からは「工作物」(ボイラー・配管・反応槽・電気設備など)の事前調査にも「工作物石綿事前調査者」の資格が必要になりました。
プラントや設備の解体に関わるなら必須です。講習はおおむね11時間ほどで、筆記試験があります。

・【作業する人】石綿取扱い作業従事者の特別教育

調査の結果「石綿あり」となり、実際に除去・処理の作業に就くなら、石綿取扱い作業従事者の特別教育が必須です。
学科のみ(オンライン可)で取得でき、内装解体では特に出番が多い項目です。

そしてもう一つ、見落としがちで大事なのが・・・作業する人だけでなく、現場には「指揮する人」も必要だということ。
石綿の除去作業を行う現場では、作業を指揮・監督する責任者として石綿作業主任者(技能講習を修了した人から選任)を置かなければなりません。
つまり「作業員=石綿取扱い作業従事者の特別教育」+「現場の責任者=石綿作業主任者」がセット
どちらかが欠けたまま作業すると法令違反になります。

「調べる資格」と「作業する資格」も別物なので、自分がどの立場で動くのかを確認しておきましょう。

さらに、作業員の体を守るためのルールも年々強化されています。資格を取ってお終い、ではないということです。

  • 年に1回の「フィットテスト」……専用機器で防じんマスクが顔にすき間なく密着しているかを測る義務。すき間から吸い込んでは意味がないからです
  • 半年に1回の「石綿健康診断」……石綿作業に常時就く人が対象の特殊健診

資格を取って終わりではなく、マスクの密着確認と定期的な健康チェックまでやって、はじめて仲間の命を守れる・・・私たちはそう考えています。

💡 特別教育や技能講習の全体像は、こちらの記事でまとめています。
斫り職人に必要な資格は?特別教育一覧とオンライン受講のススメ

・現場の流れ——「調べてから、壊す」

石綿がからむ解体は、ざっくり次の順番で進みます。いきなり壊し始めるのではなく、調査と書類が先です。

1
事前調査
有資格者が、図面と現地で石綿の有無を調べる。必要なら分析
2
結果の記録・現場掲示・電子報告
一定規模なら国へ電子報告
3
作業計画の作成(レベル1〜3すべて必須)
レベル1・2は作業開始14日前までに役所へ届出
4
飛散防止対策をして除去
レベルに応じた隔離・湿潤化・保護具
5
適正に運搬・処分+写真で記録(3年間保存)

ここで斫り屋が特に間違えやすいのがレベル3(成形板・内装材など)の扱いです。
「飛散性が低い=適当に壊していい」ではありません。
レベル3は原則、切ったり割ったりせず「ボルトや釘を外して、そのままの形(原形)で取り外す」のがルール。
どうしても割らざるを得ないときは、湿潤化(水で濡らす)や除じん機能付きの工具を使います。
バールでガンガン割るのは違反になりかねません。

元請・下請のどちらで入るにしても、この流れを知らないと「調査が済んでいないから今日は作業できない」と現場で止まります。
段取りの一部だと思って、最初に確認しておくのが結局いちばん早いです。

・「知らなかった」では済まない——罰則と責任

事前調査をしない、必要な届出を出さない、資格のない人が調査する・・・こうした違反には罰則も定められています
さらに怖いのは、石綿の健康被害が出たときの責任問題です。

だからこそ、面倒でも「調べる・届ける・記録する」を省かないこと。
これは会社を守ることであり、何より自分と仲間の体を、何十年も先まで守ることにつながります。

・まとめ:古い建物は「まず疑う」

  • 2006年(平成18年)9月以前に着工した建物・工作物は、まず石綿を疑う。見た目では分からない
  • 調べる人=建築物石綿含有建材調査者(3区分・迷ったら「一般」)/工作物は工作物石綿事前調査者(2026〜)
  • 作業する人+指揮する人=作業員は石綿取扱い作業従事者の特別教育、現場には石綿作業主任者を選任
  • 流れは「調べる→作業計画・届出→対策して除去」。レベル3も計画は必要・原形撤去が原則

石綿のルールは年々変わります。最新は必ず公的サイトで確認してください。面倒に感じても、正しい手順こそが自分と仲間の未来を守る投資です。

・参考にした公的資料(出典)

この記事の制度・資格の内容は、以下の公的機関の情報にもとづいています。対象や手続きは改定されることがあるので、最新は各サイトでご確認ください。

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