コンクリート工事に欠かせない斫り(はつり)作業とは？
sutecはつり工事の概要！作業内容から安全対策まで徹底解説
建設現場でよく耳にする「はつり工事」という言葉。
もしかしたら、普段の生活ではあまり馴染みがないかもしれませんが、
実は私たちの身の回りにある様々な建造物において、非常に重要な役割を担っている作業です。
今回は、この「はつり工事」について、その内容から安全対策、
そして作業に欠かせないツールまで、詳しく掘り下げてご紹介します。
はつり工事とは？その基本を理解しよう
「はつり（斫り）」とは、主に工事現場でコンクリートを削ったり、切ったり、壊したり、穴を開けたりする作業を指します 。
漢字で書くと「斫り」または「䂨り」と表記され、「削ぎ落とす」「削る」といった意味合いを持ちます 。
この作業は、多くの場合、電動工具や圧縮空気を使ったコンプレッサー工具を使った手作業で行われます 。ただし、基礎コンクリートや岩盤など、規模が大きくなる場合はショベルカーなどの重機にアタッチメントを取り付けて重機で行うこともあります。
解体工事との違い
はつり工事と一般的な解体工事は、その目的に違いがあります 。
- はつり工事: コンクリートやアスファルトの部分的な加工や撤去を指し、仕上げに関わる不要部分の除去、
リフォームや改修、新たな部材の設置などの際に小規模な範囲で行われることがおおいです。 - 解体工事: 建物全体を取り壊す大規模な工事であり、主に重機が使用されます 。
ただし、必ずしも分離されるものではなく、現場によっては解体工事と同時にはつり工事が行われることもあります 。
はつり工事の種類
はつり工事は、作業内容や目的によって大きく3つに分類されます。
- 躯体調整はつり工事: コンクリートの壁や床を削って形を整える工事です。左官や塗装の仕上げに影響の出る不要部分の除去、玄関ドアやサッシまたは配管設備などを設置する際のスペース確保などで行われます 。
- 解体はつり工事: 解体に伴う建物のコンクリート部分を撤去する工事です。特に重機が入れない狭小スペースや、電気配線部分や水道管まわりなどで活躍します。
- はつり仕上げ工事: コンクリートの表面を叩いたり削ったりして、デザイン性を持たせる工事です。職人の経験と技術が必要とされる繊細な作業です 。
どんな時に必要？はつり工事の多様な用途
はつり工事は比較的小規模な作業ですが、様々な現場で必要とされます。
- 工事現場が狭い場合: 作業スペースが限られ、重機を使えない場所でのコンクリートの破壊や穴あけに用いられます 。
- 配線・配管を通すための穴あけ: 建物のリフォームや追加工事で、コンクリートの壁・床・天井に配線や配管用の穴を開ける際に必要です。
- 建物の仕上げ作業: 新築やリフォームの最終段階で、外観や内装を美しく整えるために職人の手作業で行われます。
- 道路や駐車場の修繕: 劣化したコンクリートやアスファルトを削り取り、新たに舗装を施す際に活用されます。
- リフォームやリノベーション: 間取りの変更などで壁を削り取ったり、不要な部分を除去したりする際に用いられます。
- 不要なコンクリート部分の除去: 建築現場で枠からはみ出たコンクリートや、古くなった不要な部分を取り除く際に行われます 。
- 特定の構造物の解体: 建物全体ではなく、一部の構造物だけを壊したい場合に適しています 。
はつり工事で活躍する主要な道具たち
はつり工事では、作業内容や環境に応じて多種多様な工具が使用されます。
コンプレッサー
空気を圧縮してホースを通じて工具に送り込み、その空気の押し出す力を利用しコンクリートを破砕します。
特に、電動工具では対応しきれない大掛かりな斫り作業に向いています。
コンプレッサーを使用した大掛かりな斫りのことを毀し(こわし)とも言います。
エアー工具
コンプレッサーのエアーを利用して使う工具です。
- ブレーカー・チッパー: 先端に取り付けたノミで直接コンクリートに衝撃を与え、
破砕していきます 。
ブレーカーは重さによって番手が分けられ、より重く番手が多いほど破砕力が強くなりますが、
比例して、扱うための技術や経験が必要になってきます。 - エアーカッター（グラインダー）: ダイヤモンド粒子の埋め込まれた金属刃を用いた工具で、コンクリートの切断に使用されます 。
- 削岩機：エアー式のいわゆるドリルのようなもの。アンカーの打ち込みや、セリ矢を差し込むための穴をあけるために使用することが多い。
電動工具
弊社のメイン業務は主にこちらの電動工具を使用した作業です。
- 電動ハンマー
「電動ピック」とも呼ばれ、「打撃」に特化した電動工具です。先端工具(ノミ)を付け替えることで、様々な作業が可能です 。
おすすめのノミはこちら⇒【ショットブルでバリバリ斫ろう！！】 - 電動カッター(グラインダー)
ベビーサンダーとも言いますね。
エアー工具と同じく、こちらもダイヤモンドを溶着させた刃を使い、残すコンクリートを壊さないように切り込みを入れたりします。
カッター作業についてはこちら⇒【斫り(はつり)作業に必須！カッター作業！！】
はつり工事の注意点と安全対策
はつり工事は危険を伴う作業であり、安全に作業を進めるためには徹底した注意と対策が必要です。
騒音と振動への配慮
コンクリートを削ったり壊したりする作業のため、騒音と振動は避けられません 。
近隣住民とのトラブルを避けるため、以下の点に注意しましょう。
- 事前に近隣住民へ説明と挨拶を行う。
- 工事時間を調整し、早朝や深夜の作業を避ける。
- 防音壁の設置や、使用する道具を工夫するなど、可能な限り騒音を抑える対策を講じる。
粉塵対策
はつり工事では大量の粉塵が発生するため、特に屋内での作業では粉塵対策が不可欠です。
集塵機や送風機を使用して適切に対策しましょう。
保護具の着用
作業員の安全確保のために、適切な保護具の着用を徹底してください [43]。
- ヘルメット: 作業中の頭部保護 。
- 安全靴: 足元の保護 。
- 保護メガネ: 飛散物から目を守る 。
- 防じんマスク: 粉塵の吸入を防ぐために必須です。
- 耳栓・イヤマフ: 騒音の大きい作業では、防音保護具を着用しましょう。
その他の安全上のご注意
- 作業場の環境: 作業場は常に清潔に保ち、十分な明るさを確保し、可燃性の液体やガスのある場所では使用しないでください。
- 電源とコード: 使用する電源が銘板の電圧と一致することを確認し、損傷した延長コードは使用せず、アースされているものに触れないように注意してください 。
- 工具の点検: 使用前に工具や機体に破損や亀裂がないか点検し、異常がある場合は直ちに使用を中止して修理を依頼してください 。
- 専任技術者の配置: はつり工事自体に特定の国家資格は必須ではありませんが、法的な許可を得て工事を実施するには、各営業所に「専任技術者」の配置が義務付けられています。この専任技術者には、建設機械施工技士などの資格や実務経験が必要です 。
まとめ
はつり工事は、コンクリート構造物を加工・撤去する上で不可欠な専門作業です。その種類は多岐にわたり、用途も様々です。
はつり職人は、各作業に精通し、時には大胆に毀し、時にはミリ単位で繊細な施工に対応し、
左官・塗装・躯体調整の仕上げに貢献しています。
しかし、この作業には騒音、粉塵、振動といった注意点も多く、作業者の安全確保と近隣への配慮が極めて重要です。適切な保護具の着用、工具の正しい使用とメンテナンス、そして信頼できる業者選びが、安全で円滑な工事の鍵となります。
はつり工事に関する知識を深め、安全対策を徹底することで、より良い作業環境と成果が実現できるでしょう。
弊社といたしましても、必要に応じて現場に対し、作業をこちらから提案できる信頼構築や、確かな技術の提供に努めております。
ただ壊す、割るだけが斫りではなく、仕上げの後工程のことを考え、お客様の注文に合わせて気配り心配りをこめた【毀す・斫る】が出来てこそ、斫り職人だと考えながら従事しております。
