【建設業】毎日の朝礼、聞かせる姿勢が評価につながる。斫り(はつり)屋が思う朝礼のコツ


建設現場 朝礼

 

こんな方に読んでほしい

  • 現場で作業を頑張っているのになかなか会社の評価が上がらない
  • 朝礼は緊張して声が小さくなってしまう
  • 現場の指示に振り回されているだけ
  • 従業員に主体性のある職長(職人)になってほしい

 

 

はじめに:朝礼はあなたの評価を左右する大事な仕事の一つ

建設業に携わっていると毎朝行う朝礼

職長として現場に入れば、作業内容や注意事項などの発表がありますよね。

『めんどくさい』『どうせ誰も聞いていない』 と雑な発表していませんか?
その姿勢は意外と周りに見られていて、メリットにもデメリットにもつながります。

職人であり雇用主でもある、斫り屋の私が考える朝礼に対する意識をお話しします。

 

 


私は朝礼発表が苦手でした

何も『誰よりも張り切って声を高らかに発表しよう!』と言うのではありません。

ほんの少しの意識の違いで、現場での作業のしやすさや、周りからの印象が変わることをこの記事で伝えたい。

(どこまで行っても私の独断と偏見の考えです!)どんっ!




何を隠そう、元々、私自身は結構な「緊張しい」でして。
特にイレギュラーな作業内容を発表する日は、今でも緊張することがあります。笑

 

しかし、朝礼時に周りを見ると、ダラダラとラジオ体操をやっていたり、隣にいても聞こえないような小さな声で、ぼそぼそと話す人も少なくありません。
これは緊張しているだけならまだしも、義務的発表しているだけ伝える意思のない職長も多くいます。


「自分も昔はそうだったな」と思うと同時に、「ああ、もったいないな」と、少しだけ歯がゆい気持ちにもなります。 

なぜなら、そのたった数秒の発表の仕方を少し変えるだけで、周りからの評価、仕事のしやすさが大きく変わってくる可能性があるからです。

今日は、そんな「朝礼の発表」という、誰もが経験するけれど、誰も深く教えてくれないテーマについて少しだけ掘り下げてみたいと思います。

 

 

 



多くの人が気にしない、朝礼の目的や意味

「どうせただの慣例だろ?」「ここの現場朝礼長いんだよな」


暑い朝や寒い朝の長い朝礼、その気持ちもわかります。
ですがそれは非常にもったいない考えです。
毎朝の朝礼には重要な目的があります。



① トラブルを未然に防ぐ「意思統一」の場

今日の作業は誰がどこで何をするのか。それを全員で共有することで、初めて現場は一つのチームとして動けます。

例えば、朝礼で軽量屋さんが「3階B工区で建て込みです」と発表していれば、
「今日、自分が斫りを依頼されているエリアと同じだ」と事前に気づくことができます。


この時点で作業ラップを把握できるとトラブルを未然に防ぐことができ、周囲が見えていると評価に繋がります。

 



② その日の「危険」を共有する、最も重要な「安全確認」の場

「昨日の雨で、あそこの足場が滑りやすくなっている」「今日は強風だから、資材の風散養生を徹底しよう」

その日の天候や現場の状況に応じた「生の危険情報」を共有すること。
これこそが、朝礼の最大の目的です。


③ 仲間と自分の「体調」を確認する、「健康チェック」の場

「いつもより声に元気がないな。具合悪いのかな?」

朝礼は、お互いの顔色や声のトーンを確認し合う、貴重な時間でもあります。

寝不足や体調不良は、重大な事故の引き金になります。


「ぼそぼそ発表」がもたらす、見えない損失

この「本当の目的」を理解しないまま、義務的に小さな声で発表することが、どれだけの「見えない損失」を生んでいるか。

  • やる気や自信がないように見える
  • コミュニケーション能力が低いと思われる
  • その他大勢の「作業員」から抜け出せない

仕事の腕とは全く関係ないところで、あなたの評価は、静かに、しかし確実に下がっていきます。

 


明日からできる、たった3つの意識改革

では、張り切って声高らかに大声で叫ぶように発表するのが正解?


そんな必要はありません。
声が大きいに越したことはないですが、ほんの少し意識を変えるだけで十分です。

👉まずは良くない例

『えぇ…おはようございます…〇〇工業、本日の作業内容は各所斫り…人員一名…手足元注意。』(小声)

👆上記の良くない点

  • ハッキリ聞き取れない
    目の前の監督にギリギリ聞こえる程度の小声。
  • 毎日同じ内容、悪い意味でのテンプレ化
    具体性のない、毎日同じ作業内容。
  • 手足元注意は嫌われる
    具体性のない注意事項。

 


では、どのような発表が望ましいか、
下記で評判の良い【私の場合の発表のコツと例文】をお伝えします。

 

改善例① 姿勢と目線:「下を向かない」だけでいい

まずはここから、下を向いて喋っていると声も通らず、目の前の監督にすら声が届きません


もし大勢の顔を見るのが緊張するなら、無理に見る必要はありません。ただ、下を向くのだけはやめましょう。


目の前の監督や職長の「鼻からおでこのあたり」をぼんやりと見るだけで十分です。それだけで、【堂々としている印象】を与えられます。


緊張しながらの見栄でも構いません。
どうせ嫌でも発表しなければならないのなら、
少しでも評価が上がるように見た目から入るのも十分に効果的です。

改善例② 声の出し方:「一番遠くにいる人に届ける」意識

小さな声になってしまうのは、意識が自分の口元に集中しているからです。
そうではなく、一番遠くにいる人の「耳」に、自分の言葉を届けるイメージで話してみてください。


そして、まだ慣れずに緊張しているなら先述の通り、人の目を意識しないようにしましょう。
もちろん、『人と話すときは目を見て話せ』なんてよく言われますよね、
やりたい人・できる人 はやればより良いですが、そもそも緊張して話せなくなっては元も子もありません


そして、無理に大声を出して叫べとは言いません。熱く語って理論固めする演説でもないので、
まずは自分の声を届けるように意識することで自然と声が前に出て、聞き取りやすくなります。

③話す内容を決めておく「自分だけの型(テンプレート)」

緊張するのは、「何を話すか」が決まっていないからです。

朝礼前に担当の監督と話し、作業内容を確認して話す内容を決めておきましょう。
自分の中で定番の流れを決めておくとより効果的です。

【よくある発表の基本テンプレート】             

例【挨拶⇒会社名⇒作業内容⇒人数⇒安全注意事項⇒締めの挨拶】

私の朝礼の発言例👇

おはようございます!〇〇工業!
本日の作業内容は主に3階B工区でSD開口の躯体調整、ほか各所斫り作業!
人員1名。
安全注意事項は上部作業時、立ち馬を使用しますので足元確認して水平設置・適正使用で作業します。
本日もよろしくお願いします。(元気よく!)

👆ここまで言えれば印象は問題なし!

それどころか、監督からも周りの職人からも、具体的に『ここで作業するんだな』と言うことが伝わり良い評価を得られます。

特に大事にしたい朝礼の発表内容!

💡本日の作業内容

複数個所で作業指示されている場合、『各所斫り』で一括りにしたい気持ちもわかりますが、
特にメイン作業を一つ決めて具体的なエリアと内容を発表すると、
後述する他業者との作業エリア干渉トラブル回避にもなるのでオススメです。



💡安全注意事項

私たち斫り屋で言うと、よく発表で聞くのが『保護具着用で作業します』

👆これ、安全意識の高い現場では保護具を着用するのは当たり前だろ指摘される可能性もあるのです。

理想は、メインの作業内容に関連する安全注意事項を具体的に述べるとわかりやすくてオススメです。

例えば今回の例は『SD開口の躯体調整』をメインに挙げているので脚立や立ち馬を使用します。

注意事項もそれに合わせて『上部斫り作業時、立ち馬を使用しますので~…』と伝えると具体性も出て安全を意識した発表になります。



各所にわたる作業で、具体例が思いつかず『保護具の着用』しか思いつかない場合も、
例えば『斫り作業時、ガラ・粉塵が飛散しますのでメガネやマスクなどの保護具の適正使用』と、
いつ?なぜ?どうする? をセットにして伝えることで、安全意識の高い発表にレベルアップするのです。

【斫り屋向け・応用編】危険ポイント+α(周囲への配慮と協力依頼)

さらに!発表に慣れてきたあなたに理想を言えば、

私たち斫り屋は現場監督の依頼で作業するのですが、突発的なスポット作業の場合、監督の采配ミスで他業者と作業エリアがラップする場合があります。

現場の依頼と言えど、周囲の他業者からみれば、突然現れた騒音・粉塵をまき散らす邪魔者でしかありません。


💡そこで私の場合は、朝礼前に監督に確認して作業エリアがはっきりしている場合、
狭いスペースや動線上の作業であれば以下のように追加で述べます。

追加文 例

『3階での斫りですが、狭いエリアでの作業なのでガラや粉塵が飛散してしまいます。ご迷惑かけますが通行しにくい場合は声掛けや迂回をお願いします。』

👆この一言があるだけで、周りの業者からの印象は「厄介者」から「周りに気を使えるプロの斫り屋」に変わります。

さらに、この一言がフックとなり、改めて監督が斫り作業のリスクを再認識し、現場全体への注意喚起を促してくれることにも繋がるのです。

朝礼と連動。KY用紙の記入も考えは同じ!

ここまで、「言葉」で伝える朝礼の重要性について話してきました。

しかし、実はもう一つ、私たちが毎日向き合っている職長の仕事。
自分の「思考」を問われるものがあります。
そう、KY用紙(危険予知活動記録紙)の記入です。

朝礼での発表と同じように、「どうせ誰も真剣に読んでいないだろう」と、形式的に、毎日同じようなことを書いていませんか?

その日の作業内容とは関係のない、抽象的な言葉だけを書き連ねているKY用紙は、見る人が見れば一瞬で見抜きます。

「この職長は、今日の作業の危険性を考えていないんだな」と。

自分の言葉で朝礼を組み立てるように、その日の作業に潜む、具体的なリスクを自分の頭で考え、自分の言葉で書き出す。
この「思考」の習慣こそが、あなたを「安全を任せられる職人」へと成長させてくれます。

この、奥が深い「KY用紙の書き方」についても、また日を改めて、"小うるさく"記事にしてみたいと思います。

・どれだけやっても会社からの評価が上がらない⇒転職の道も

朝礼も主体的に行い、作業も評判が良い!それでも会社からの評価・昇給に繋がらないのであれば、
あなたが安く買いたたかれている可能性もあります。

実際の転職には勇気もいる、リスクもある。
しかし【転職活動】にはリスクはありません。


転職活動をするということは、必ずしも今の職場を辞めることに繋がりません。
【自分の価値を知る】ことに繋がります。

転職サイトや、転職エージェントに相談した結果、
今の給料が実は相場より上かもしれません!

自分の価値を知ったとき、自分が思っていたより会社があなたに還元してくれていることを知れば、
今まで以上に会社に貢献できるあなたになれるでしょう。

建設業界だけでも会社や業種により給料の差はピンキリです。
転職活動の結果、あなたの会社や業界に限界を感じたのなら勇気を出して転職に踏み出すことも検討しましょう。



まとめ:朝礼は自分の「価値」を証明する大事な時間である

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

会社の幹部は、あなたの現場での一つ一つの丁寧な作業を、毎日見ているわけではありません。
では、どうやってあなたの価値は伝わるのか。


それは、現場の監督からの「信頼」です。

朝礼での主体的な発表、周囲への配慮、事前の打ち合わせ。そうした日々の小さな積み重ねが、
「この職人は、ただ言われたことをやるだけじゃない。安心して仕事を任せられる」という、揺ぎない信頼を築きます。

そして、その信頼が「次回も、ぜひ〇〇さんでお願いします」という、最高の評価となってあなたの会社に伝わるのです。

朝礼は、単なる報告会ではありません。
現場にいる監督だけではなく、結果的に会社にも自分の価値をプレゼンできる、最強の営業ツールなのです。

この記事が、あなたの明日の朝礼を、少しだけ変えるきっかけになれば幸いです。


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