【斫り(はつり)屋】コンクリート面取り作業の方法とコツ【カッター作業】

床段差の面取り画像


こんにちは!湘南ユーテックです!
建設業、特に斫り屋さんをやっていると当たり前に聞く【面取り】という言葉


【面取り】そのものは色々な業界や業種で使われる言葉ですが、
今回は私達、建設現場で働く【斫り屋がコンクリートに対して行う面取り】について紹介します。

ハンドグラインダー(ベビーサンダー)での施工が一般的ですが、実は長年斫り作業に携わっていても面取りが苦手な職人が多いのも事実です。
私も常に練習だと思いながら、少しでも丁寧で綺麗なカッター入れ・面取りを目指して奮闘しております。

まだ斫り屋を始めたばかりの若い職人や、カッター作業が苦手な職人さんも、
なんのために面取りをするか、また、作業のコツについてを紹介していきたいと思います。

※当記事はプロモーション広告を含んでいます。

・斫りにおける面取りとは?躯体の角を斜めに落とす作業

建設作業で斫り工事における面取りとは、
コンクリート躯体の柱や壁の直角の角をグラインダーなどを使用して斜めに切り落とす・または削り落とす作業のことを言います。

本来、面が必要な設計の場合、基本的にはコンクリート打設前にあらかじめ型枠に面木を組んで角がない状態で造られますが、
施工手順の問題や面木の入れ忘れなどのため、後から斫りや左官で手を加えて面を成形することもあります

👇弊社TikTokアカウントに載せている面取り作業動画です。

@s.u.tec 最近はなかなか作業動画を撮れる現場に入れないなぁ。 #斫り #解体 #建設業 #作業動画 #従業員募集 #思い出 ♬ オリジナル楽曲 - 湘南のユーテック【斫り・解体】


コンクリート躯体の角を落とすメリットを次の項目で紹介👇


・面取りの必要性→目的により様々な理由。

その箇所ごとの必要性に応じてコンクリートの角を落とし、面を作ることで、様々なメリットを生み出します。

💡以下で躯体工事における代表的なメリットの例を紹介します。

1.ケガ防止

躯体の角が直角や鋭利なピン角のままだと、施工中はもちろんのこと、引き渡し後の利用者・居住者が接触した際にケガにつながる恐れがあります。

角を抑えて面にすることで、ぶつかった際の怪我のリスクを抑えられます。
手すり壁の天端や柱など、人が触れる可能性がある部分だけ面取り仕上げにすることもあります。

2.角の欠け防止と耐久性の向上

コンクリートの角は、外部からの衝撃や経年劣化によって最も欠けやすい部分です。
鋭利な角は集中荷重を受けやすく、小さな衝撃でも容易に破損する可能性があります。

面取りを行うことで、この鋭利な角が緩和され応力が分散されるため、欠けや損傷のリスクを大幅に低減し、構造物全体の耐久性を向上させます。

3.塗装・防水材の接着性向上

塗装や防水材の施工において、鋭角な角は塗料や防水材が均一に塗布されにくく、剥がれの原因となることがあります。

面取りによって角に適切な丸みや斜面をつけることで、塗料や防水材がスムーズに乗り、密着性が向上します。
これにより、塗装のひび割れや防水層の劣化を防ぎ、長期的な機能維持に貢献します。 

💡上記の様な【面取りの必要性】を認識しておくことで、
現場内で躯体の違和感、例えば「下の階では手すりの内側が面だったのにここはピン角だ」
「ここは人が触れる場所だからこの現場では面取りが必要なはず」
など、
現場監督がまだ気づいていない不良箇所に先に気づき提案出来る職人として評価につながっていきます。


・はつり屋の面取りの施工を動画で紹介

面取りもカッター作業の一種です。
コンクリート用の刃をつけたグラインダーを使います。
(TikTok動画です)
ご覧になれる方は是非参考にしてみてください。

👇参考動画はこちら



 

💡動画内で使用グラインダーはハイコーキのブラシレス!

動画内で使っているグラインダーは気に入っている
ハイコーキの電子制御タイプのグラインダーG10VEです(ブレーキ付きのちょっといいやつ)。

haikoki ディスクグラインダー g10ve

G10VEはおそらく廃盤なので今買うなら新型のG10VE2です。


💡電子制御による誤動作防止やキックバック時の緊急停止、回転のブレーキ機能などが搭載されたグラインダーです。
プラント内現場などルールがしっかりしている現場では、キックバックや誤動作防止システム付きのグラインダーが必須な事が多いので、
必要があれば、ブラシレスでメンテナンスフリーと言うこともありこちらの機種はおすすめです。


この機種は、ダイアルで回転速度が調整できるので、
特に面取りやカッター作業に慣れないうちは速度を落として削りすぎ防止することができます。

この回転調整により、慎重に研磨したい時、
早すぎる回転では刃が暴れる時、切断時の摩擦によるヤケを防止したい時、など、
使ってみたら意外と便利な機能なので様々な作業を行う方には重宝します。

HIKOKI G10VE2(公式サイト)

」125サイズの替え刃をメインに使う方はこちらもオススメ💡

 

 

・面取り作業におすすめのブレード

面取り作業は、カッターの刃先で切るというより、側面を当てて擦っていくイメージなので、
中心のロックナットが出っ張っていると邪魔になってしまいます。
オフセットカッターや特殊フランジ付きのフラットカッターを使うことでブレードの面全体を当てて切ることが出来るのでがおすすめ!

フランジ付きカッター

☝️私がよく使うおすすめはこちら



価格と切れ味のバランスが良く、私が選ぶ刃になります。
切れにくくなってもプラスドライバー一本で刃の裏表を返すことで消耗面を調整し、
切れ味を維持できるところが一体型のオフセットカッターにはない利便性です。

 

面取り作業にオフセットカッターが良い理由

💡面取り作業において真ん中にロックナットが出っ張っていないというのが本当に便利です。

通常の刃ではナットをまたいだどちらかに寄せた状態で切り口を覗くので、慣れた方でも角度に偏りが出る可能性もあります。

ロックナットがないことで、刃の真ん中を使うことができ、私が面取りのコツで上げている「角から見て左右均等の幅を削る」
実施しやすくなります。
面取りに慣れていない方ほどカットの角度感になれるためにもオフセットカッターを使うのをおすすめします。

アイウッド フランジ付ダイヤモンドカッター 外径125mmx刃厚2.2mmxネジ穴径M16

アイウッド フランジ付ダイヤモンドカッター 外径125mmx刃厚2.2mmxネジ穴径M16


☝️使うグラインダーの種類によって軸や刃の外形サイズが異なるの注意💡
ご自身の使用するグラインダーに合った軸径の物を購入しましょう。


・ 面取り作業のコツ

以下のコツに合わせて、こちらのカッター作業の基本も合わせて一読すると
より安全で丁寧な作業を意識できると思います。



角度は基本45度!
直角の角に対して45度に切り込む。
適当に角を落とせば良いと思って雑にやると、角度が悪く、後々左官補修が出来ないなどの不具合が出てきます。
各現場や必要箇所に合わせた幅や角度を大事にしましょう。

左右の幅を同じにイメージ
正面から角を見て、左右同じ幅で切るときれいな角度になる。
二等辺三角形をイメージしてもらえば分かると思います。

狭すぎ注意!
幅が狭すぎると左官補修ができない。
現場によって仕上げの面幅が10mm〜25mmと様々なので仕上げの幅を必ず確認し、最低でもその幅以上に切り込む。
狭すぎると左官補修が出来ずにカットのやり直しなんて事にもなりかねないので、必要最低幅以上を意識しましょう。

目指せ一発仕上げ!
角度さえ正確なら、多少の幅ムラは左官で補修可能。
怯えると幅が狭くなりがちです。慎重さは大事ですが怖がらずにチャレンジしましょう!

慣れたら理想は補修いらずのきれいな面取り!カッター作業は常に向上心あるのみです。

TikTokから参考動画👇

@s.u.tec 自分なりの面取りのコツです! #はつり #作業動画 #hikoki #カッター作業 #作業風景 #職人技 #こだわり #解体 #神奈川 #茅ヶ崎 #fyp #従業員募集中 ♬ NIGHT DANCER - Kuno


・面取り作業時の粉塵対策

🤞面取りは溝を深く切る作業とは違い、粉塵が広く飛散しやすいので
手持ちの集塵機だけでは対応が難しい!

広く空気ごと吸塵してくれる送風機などを使って対策するのが望ましいです。

おすすめの方法

送風機&集塵袋
  • 集塵袋をセットした送風機で作業場所を吸気&排気
  • もちろん マスク・保護メガネ・耳栓 は必須!

送風機は現場の備品として用意してもらい、可能なら集塵袋も現場の手配で準備してもらうのが好ましいです。
ほとんどの場合、現場単位での消耗品になることが多いので、粉塵作業が多くなる時は現場と相談すると良いでしょう。

※普通のカッター入れと違い、粉塵と共にコンクリの切れ端がダイレクトに飛んできます。
面取りに限らずですが、粉塵・ガラが目に入り危険なので、確実に保護メガネを着用しましょう。

 
 

・グラインダーから刃が外れない場合のオススメレンチ

ロックナットのない特殊なツライチカッターを使用していて、刃がグラインダー本体にガチガチにしまってしまったときは、
アジャスター付きのピンレンチを使うと便利です。

私のおすすめは断然【mitoloy】のピンレンチです。
私の周囲の職人はこれしか使っていないと断言できるほど丈夫で信頼のできるピンレンチです!


画像のようにアジャスターで調整し、外周の穴に合わせることで力もかけやすく比較的に楽に外せます。

ディスクグラインダーの砥石交換にオススメしたいピンレンチ!

グラインダーの砥石交換「外れない」を減らすMITOLOYのピンレンチ!

こんにちは!湘南ユーテックです! 今回は砥石交換の必需品のピンレンチ!数ある商品の中から絶対的なおすすめはこれ!!特に固着して固くなり外れなくなってしまった砥石…

 

 

・「たかが面取り」があなたの評価に影響している

💡なぜ、私がここまで面取りの質にこだわるのか。

少し小うるさい言い方になりますが。
今回は、面取り作業についてフォーカスしましたが、
他の作業においてもマインドは同じです。

この一見地味な【作業に対する気配り】こそが、後工程である左官屋さんや塗装屋さんへの「最高の心配り」であり、
【あなたの仕事の質】を【あなたの価値】へと昇華してくれるからです。

日々適当に仕事をこなし、雑な作業をした後には必ず補修という無駄な作業が発生します。
しかし、あなたが完璧な下地を創り上げることで、後工程の職人はスムーズに、そして美しく壁を仕上げることができる。


丁寧な面取り・丁寧な斫りを心がけていると実際に左官屋さんからこのような言葉をいただきます。
「以前の斫り屋さんは面取りやカッター作業が雑で補修が大変だった、これだけ綺麗に斫ってくれたら助かるよ」と。

こちらの記事👉️【左官屋に褒められる斫り屋になろう、現場での評価は自分の価値に変わる!】でも書いていますが、


【後工程の仕事のしやすさ】という評判は必ず監督の耳に入り、やがて「次の現場もあの斫り屋さんで」という、「指名」と言う最高の評価として会社に伝わるのです。

「たかが面取りだろ」と雑に施行することで、あなたの思っている以上に自分の価値を下げているかもしれません。
職人である以上、いつもの作業を向上心を持って当たり前以上にやる。
その姿勢こそが、あなたを「ただの作業員」から「現場に不可欠なプロフェッショナル」へと引き上げてくれるのです。

左官屋に褒められる斫り屋になろう、現場での評価は自分の価値に変わる!

斫り屋は「ただ壊すだけ」ではない。「次も君がいい」と指名される職人の思考法 斫り屋の仕事は、主に【コンクリートを壊したり削ること】ですが、その本質はただの「破壊…





🌟まとめと安全対策

  • 面取りとは、躯体の角をカットするカッター作業。
  • おすすめはツライチでカットできるオフセットカッターなど。
  • コツは角から見て同じ幅で、45度を意識!
  • 粉塵対策は集塵機より、【送風機と集塵袋で】。
  • 保護メガネ、保護マスクは確実に着用!

 

面取り作業は簡単そうに見えて、慣れるまでは繊細で難しい危険作業です。
必ず安全対策をして作業しましょう。

👉 カッター作業の基本的な安全対策はこちら

🌟斫り作業を行うためには、身を守るための適切な保護具の着用が必要です。
こちらの記事にも載せていますので参考にしてみてください。

👉『【はつり作業】気持ちはわかるが、保護具は着用しよう!』

最後に。
私の個人の見解になりますが、面取りや躯体調整に伴う斫り作業というのは、
後工程の職人や現場監督から【物理的にも見た目が目に入る】作業です。

腕に自身がある職人さん程、実力を示す絶好の機会になると感じます。

一つ一つの作業を雑にこなさず、自身や後工程業者が満足できる仕上がりを意識して施工し
あなたへの信頼や評判を積み上げていきましょう!

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