手を止めることを恐れるな【研ぐ時間<斫りの速さと質】ショットブルの研ぎ方解説!

【TikTok動画分解シリーズ】ショットブルの研ぎ方編!


こんにちは!
今回は弊社TikTokアカウントの動画からショットブルの研ぎ方を細かくみていこうと思います。

👉️【湘南ユーテックTikTokアカウント】

@s.u.tec

@Cvxhgdhdyに返信 初めての動画で返信🤭 自分なりのハイス鋼付きショットブルの研ぎ方紹介。 #ハツリ #解体 #建設業 #従業員募集 #作業動画

♬ cute uptempo song(1491589) - sanusagi

コンクリートを相手にする斫り屋にとって、
ノミの切れ味は作業効率と仕上がりの品質を大きく左右します。

急いで作業を進めたい時こそ、ついメンテナンスを疎かにして、丸く潰れたノミで作業を続けがちです。


「手を止めて研ぐことに時間を使うのが勿体無い」
その気持ち、とてもよくわかります!



ですが実際はその逆で、
手を止めてでも研いだ方がバリバリと早く斫り終わることが多いです!


継続的なハツリ作業中、そのまま作業を続けるかノミを研ぐかの天秤に悩まされることも多々ありますよね(笑


あらかじめショットブルの研ぎ方をインプットしておいて、
先端が潰れ切る前にマメに研ぐ癖をつけましょう。

研ぎ方は人により異なる場合があります。
あくまでも私の場合のやり方なのでご了承ください。

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ショットブルとは?

私がこのブログで「ショットブル」と呼んでいるのは、主に【清水製作所(ラクダ)のショットブル】を指しますが、他社の類似品全般を指すこともあります。

近年、新築現場では高強度コンクリートが増え、従来のノミでは力負けすることが少なくありません。
しかし、先端にハイス鋼を使用しているショットブルは、その硬さや形状を活かし破砕力に優れ、食いつきが良く、細かいコントロールが効くのが特徴です。
これにより、硬いコンクリートでも効率的に、そして精度の高い斫り作業が可能になり、こだわる職人さんほど「鬼に金棒」だと感じるでしょう。


① ショットブルを研ぐための準備

ショットブルを研ぐための準備物

 

 

✅ノミ研ぎに必要な道具

• 砥石を付けたグラインダー(サンダー)

• 水を入れた缶やバケツ

• ショットブルを固定するための桟木など


✅保護具を忘れずに!

  • 革手袋
  • 保護メガネ
  • 防塵マスク

上記の保護具を着用して行いましょう!
斫り作業の合間のノミ研ぎであれば基本的には着用してますよね?、基本となる道具と保護具です。

 
※グラインダーの砥石はどれを使う?

私は、グラインダーはハイコーキの機種を主に使うのですが、
本体を買うと付いてくる緑の砥石があるのでそれを使うことが多いです。

これ、斫り屋的には他に使い道がないんですよね。
勿体無いのでノミ研ぎ用で使っています。

はつり作業中ですと切断用の研削砥石を使って研ぐこともありますが、
平面部分を使うことは推奨されていないので今回は言及しません。

豆知識:砥石の交換には「特別教育」が必要です

ご存じの方も多いと思いますが、実は労働安全衛生法により、グラインダーの砥石(ブレード)の取替え業務には「研削砥石の取替え等の業務に係る特別教育」の修了が義務付けられています。

「知らなかった」では済まされない重要な知識ですので、まだの方は必ず受講しましょう。
最近では、仕事を休まずに済むオンライン(Eラーニング)での受講**も可能になっています。

オンライン受講の参考↓
SAT株式会社:特別教育から国家資格の受験対策まで、幅広いオンライン講座を提供。
(数あるオンライン受講先の一つの例です)

 

 

✅可燃物がないか周囲の確認

ショットブルやチゼルを研ぐ際にはサンダーによる火花が発生します。

現場内で研ぐ場合、
壁のウレタン断熱材や可燃性の塗料など引火しやすいものが近くにないかよく確認しましょう!

・研ぐ際の熱を冷ますためのバケツに十分な水を入れて消火用として兼用することもおすすめです。

※現場によっては火器作業扱いされることもあるので、消化器が必要な場合もあるかもしれません。 


② 実践!「焼かない」「焦らない」が肝心

ノミの固定とグラインダーの当て方

私の場合は、動画のように桟木を枕にしてノミを置き、足で踏んでしっかりと固定します。
そして、グラインダーを両手で持ち、上からノミの面に均等に当てて研いでいきます。
この方法が安定して研げるので私はこのように研いでいます。

力で無理に押し付けないようにしましょう。

ショットブルを足で固定して研ぐ様子


キレイに整形するコツとしては研いで削っていくというより、
角度をつけ始める根本から先端にむかって伸ばすように削っていくイメージです。

最大の注意点:「焼き」を入れないための冷却

ノミを研ぐと、摩擦で刃先が非常に熱くなります。
この熱が上がりすぎると、鋼の「焼きが戻って」しまい、せっかくの硬度が失われてしまうと言われています。

刃先が黒っぽく変色したら、それは熱くなりすぎのサインです。

研いだショットブルを水で冷やす様子

ハイス鋼は比較的熱に強いと言われていますが、
変色するほど熱を与えてしまうと焼き戻りを起こしてしまうリスクがあるので
【あと少し】を欲張らないように気を付けましょう。


先端が鋭利になるほど熱を帯びて焼けやすくなります。
ヤケを防ぐために、「少し研いでは、水で冷やす」この繰り返しが非常に重要です。
焦って一気に研ごうとせず、一面を少し研いだら水で冷やし、次の面を研ぐ…というように作業を進めましょう。

研ぎたいノミやチゼルをあらかじめ数本用意し、冷ましながらローテーションして研ぐと効率的です。


③ 鋭利な先端よりも角を出そう

さて、ここからが一番大事な話です。ショットブルを研ぐ目的は何でしょうか?「ギンギンに尖らせること」だと思っているなら、それは大きな間違いです。

本当の武器は「先端」ではなく「四つの角」

確かに、鋭く尖った先端はコンクリートに食い込みます。しかし、本当にコンクリートを効率よく破砕しているのは、
先端そのものではなく、4つの面が均一に研がれることで生まれる「四つの角(カド)」なのです。

研ぎ終わったショットブルの先端のアップ

イメージとしては、先端が突き刺さった後、この角が「クサビ」のように働いてコンクリートを押し広げ、割っていく。
いくら先端が鉛筆のように鋭くても、この角が丸まっていては、ただ穴が深くなるだけで、なかなか破砕が進みません。

目指すべき最終形は「ギンギン」に刺さる刃よりも「角を立たせた割れる刃」

ですから、研ぐ時に意識すべきは、「4つの面を均等に削り、しっかりとした角を立てる」ことです。
先端を鋭くしすぎると、すぐに欠けたり潰れたりして、また研ぎ直す羽目になります。
ある程度の鋭さは保ちつつも、それ以上に「角出し」を意識する。これこそが、結果的に一番「仕事が早い刃」に繋がるのです。


まとめ:「研ぐ」時間への投資が、あなたの仕事の質を上げる

ショットブルの研ぎ方、いかがでしたでしょうか。

  • 面倒でも、こまめに研いだ方が結果的に仕事は早い。
  • ただ研ぐな。安全確認と「焼き」を入れない冷却を徹底しろ。
  • ただ尖らせるな。破砕の要である「四つの角」を意識しろ。

「手を止めて研ぐ時間」は、決して無駄な時間ではありません。
それは、あなたの作業効率、仕上がりの品質、そして何よりあなた自身の道具への理解を深めるための、非常に重要な「時間の投資」なのです。
このマインドが、あなたを何も考えず言われて斫りるだけの「ただの作業員」から、
自分の意志で効率化のために立ち止まる、一歩先の職人へと引き上げてくれるはずです。

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