左官屋に褒められる斫り屋になろう、現場での評価は自分の価値に変わる!
斫り屋は「ただ壊すだけ」ではない。「次も君がいい」と指名される職人の思考法

斫り屋の仕事は、主に【コンクリートを壊したり削ること】ですが、その本質はただの「破壊」ではありません。
仕上げるために削る、プラスのためのマイナス部分を担う仕事です。
つまり、自分の仕事の本当の価値は、次に作業する職人が決める」と言っても過言ではありません。
私は、長年の経験からそう確信しています。
💡斫り屋の腕は、左官屋に褒められてこそ一人前
これは、現場での馴れ合いや、職人間の忖度の話ではありません。
建設現場では、リレーのように前後の工程で業種間の受け渡しがあり、
私たち斫り屋の場合は、左官屋さんが直近の後工程、時にはバディーのような存在です。
斫り屋の躯体調整、その作業レベルの是非を一番に肌で感じ、評判を広げてくれるキッカケになるのが左官屋さんです。
その評判がいずれ現場監督👉会社へと流れ自分の価値を上げることにつながります。
この記事では、多くの職人が見過ごしている「評価の仕組み」を理解し、自分の価値を上げるマインドを、
斫り屋と左官屋の関係で例えて書いています。
この記事を読んでほしい方
- 自分の仕事が正当に評価されていないと感じる
- 「スピード」か「丁寧さ」か、仕事の進め方に迷いがある
- 指示されたこと以上の価値を提供する方法を知りたい
- 現場で「指名される職人」になり、自身の価値を高めたい
・なぜ左官屋からの評判で斫り屋の価値が左右されるのか

「なぜ、自分の後工程の職人のことを気にする必要があるのか?」
そう考える方もいるかもしれません。
ですが、これは現場での馴れ合いや忖度のためではありません。
あなた自身の評価を戦略的にコントロールするための、非常に重要な視点です。
評価の伝達ルートを理解する
現場での職人の評価は、ある程度決まったルートを伝って会社まで届きます。
特に私たち斫り屋のような専門職の場合、その流れは顕著です。
評価の伝達ルート
① 後工程の職人(例:左官屋)
「あの斫り屋さんの仕事のあとは、補修作業が本当にやりやすい」
↓
② 現場監督
(左官屋から良い評判を聞き)「あの職人は信頼できるな」
↓
③ あなたの会社
「監督から、次の現場も△△さん(あなた)名指しでお願いしたいと連絡がありました」
この仕組み、理解できますでしょうか。
あなたの仕事ぶりを最も直接的に評価するのは、すぐ後ろで作業をする左官屋さんです。
彼らのポジティブな口コミが、現場監督の信頼を勝ち取り、最終的に会社への「指名」という最高の評価に繋がるのです。
・「スピード」と「丁寧さ」のバランス。評価されないはつり屋とその理由
腕に自信があるのに、なぜか評価が上がらない。
そうした職人は、仕事の価値を測る「物差し」を間違えている可能性があります。
①:「スピード至上主義」の落とし穴
あなたのスピードはもちろん立派な武器です。
しかし、仕上がりが雑で後工程の職人が作業できないのであれば、そのスピードは無価値になり得る諸刃の剣です。
手直し(出戻り)が発生した時点で、現場にとっては大きなマイナス。
どんなに早くても、やり残しがある仕事は「未完」と同じです。
もちろん、雑さにも【左官屋さんから見て許容できる範囲】と言うものもありますが、
日頃からクオリティを気にしない作業をしていては、いつ出戻り作業が発生するかわかりません。
補修直前に手直しが発覚すれば工程も遅れ、やり直しのコストも嵩みます。
そう言ったリスクのある斫り職人は、本人の気づかないところで敬遠されるケースも少なくありません。
②:「丁寧さこそ正義」という自己満足
スピード重視の逆もしかり。
完璧を求めるあまり、工期を無視した丁寧すぎる仕事も評価されません。
「あの人に頼めば間違いないが、とにかく時間がかかる」と思われては、重要な仕事は回ってこなくなります。
【時間をかけ過ぎた丁寧さ】は「補修が楽だ」から「どうせ補修するのに」へと印象を変え、
現場から見ても工程とコストに影響を及ぼすリスクのある職人と認知されてしまいます。
求められるのは、工期内に収まるスピードと、後工程がスムーズに進められる正確性の両立。
もちろん「出戻りのない確実な仕事」を第一優先で覚えることが大切です。
その上で【後工程に必要な最低限の斫り】・【繊細な技術を生かした丁寧な斫り】の違いを使い分けましょう。
技術と意識が向上すれば、質の高い仕事を維持したまま、スピードは自然と上がっていきます。
・【はつり=壊す】から【創るために斫る】へ。後工程から逆算する思考法
① 自分の仕事は「下地づくり」と心得る
後工程の職人から評価される仕事とは、一言でいえば「その後の作業が楽になる仕事」です。
斫りであれば、左官屋さんが塗るモルタルの量が最小限で済むような、的確な深さと平滑さを意識する。
つまり、自分の仕事を「破壊」ではなく、「美しい仕上げのための下地を創る」という意識で捉えることが重要です。
②「指示待ち」を卒業する、【良い職人】の“観察眼”
これが、その他大勢から頭一つ抜け出すための、最も重要な習慣です。
現場では、ただ作業をするのではなく「観察」を怠らない。
この「観察眼」を養うと、監督や図面ですら見逃している「あれ?」という違和感に気づけるようになります。
- 「この現場の基準では、ここの壁の出隅は面取りのはずだが、図面に指示がない…」
- 「他の階では施工されているサッシ上部の目地が、この階だけ抜けている…」
現場内を歩きながら躯体の違和感を感じる癖をつけましょう☝️
③ 現場での「気づき」を評価に変える武器に
違和感に気づいたら、それを「まあいいか」で済ませず、監督や関係者に確認するのです。
「監督、念のための確認ですが、ここの出隅はピン角で問題ないでしょうか?他の箇所に合わせて面取りも可能ですが」
この一言が、あなたを「指示されたことだけをこなす作業員」から、「現場全体の品質を共に考えるプロフェッショナル」へと昇華させます。
これは、単なるお人好しと言う話ではありません。
斫り屋に限らずですが、多くの職人の中には、言われた作業しかやらなかったり、
たとえ気づいていてもわざわざ自分から仕事を増やさなかったりする【作業員】も間違いなくいます。
理想を言えば、みんなが竣工に向けて気を遣える職人なら良いのですが、実際はそうもいきません。
💡だからこそ!
少し意識を変えて、周りに気配り目配り出来る職人になれば差別化されてあなたの価値が上がるのです。
先に躯体の違和感に気づき、それを現場監督にフィードバックし手直しすることで、
やりにくくなってから「やっぱり直して」と言われる最悪の「出戻りリスク」を、自分自身のために回避するという、極めてクレバーな自己防衛にもなります。
結果として、現場の品質は向上し、出戻り作業が減ることで後工程の職人も監督も助かる。
一度仕上がってからの斫りから始める出戻りのコストは多大ですからね。
この好循環を生み出すきっかけをあなたが作ったとき、現場のあなたを見る目は確実に変わります。
・現場で築いた信頼は「あなたの価値」を底上げする。
ここまでお話しした思考法を実践し、現場からの信頼を勝ち取ったあなたには、その価値を正当な評価へと繋げる権利があります。
① 今の会社で評価を高める
現場からの「指名」は、あなたの会社に対する何よりのアピールになります。
普段、あなたの働きぶりを直接見ることができない会社の上司や経営陣も、元請けからの指名という客観的な評価は無視できません。
これが、昇給や、より責任のある立場を任されるための、強力な交渉材料になるのです。
② 価値に上乗せする資格取得や特別教育を受講する
もちろん資格の取得はある程度勉強する覚悟が必要ですが、簡単な特別教育であれば近年はオンラインで簡単に受講できます!
私も最近までは知らずに、仕事を休んで1日ないし2〜3日返上して特別教育を受けていました。
今では資格もE-ラーニングで勉強でき、特別教育もオンラインで受講して修了証をもらえます。
(実技が必要な特別教育は働いている事業所で先任者を定め、決められた時間の実技講習の実施が必要です。)
オンライン受講先の参考
上記は数ある受講センターの一部抜粋です。
③ 【転職活動】で正当に評価される場所を探す
それでも、今の会社にあなたの価値を正当に評価してもらえていないと感じているのなら、あなたの市場価値を知るために行動しましょう。
【転職】そのものは覚悟や勇気がいるものです。
しかし【転職活動】は、必ずしも今の職場を辞めることには繋がりません。
それは「自分の価値を知る」ための活動なのです。
求人を出している希望の会社に転職後の給与の額を問い合わせたり、
建設業界に特化した転職エージェントに相談すれば、あなたのスキルと経験が他の会社ではどんな給与や待遇で評価されるのか、
客観的な物差しを知ることができます。
その結果、今の会社が自分をどう評価してくれているかを知ることや、より良い条件の会社を見つけるきっかけになるかもしれません。
比較した結果、もしかしたらすでに今の会社で高待遇を受けているかもしれません。
まとめ:後工程からの「ありがとう」こそ、最高の評価である
ここまで、現場で評価されるための思考法についてお話ししました。
- 自分の仕事は、後工程のための「下地づくり」と心得る。
- 現場を「観察」し、図面や指示にない違和感に気づく。
- 気づきを「確認・提案」という行動に変える。
これらを実践したとき、あなたの仕事の最初の評価者である後工程の職人から、自然と「ありがとう、仕事がしやすかったよ」という言葉がもらえるはずです。
その一言こそが、どんな書類上の評価よりも価値のある、あなたの仕事の証明書です。
その評判が現場に伝播し、監督を通じて会社に届いたとき、あなたは「ただの作業員」ではなく、
現場から「次も君がいい」と指名される、価値ある職人になっていることでしょう。